好きな人ほど素直になれないのはなぜ?大人の恋愛に隠れた心理
「会いたい」
本当は、そう言いたい。
でも言えない。
LINEが来れば嬉しいのに、
すぐに返信したら待っていたと思われそうで、
少し時間を空けてしまう。
もっと話したいのに、
「じゃあ、またね」と自分から会話を終わらせる。
好きな人の前だからこそ、
なぜか素直になれない。
そんな経験はないでしょうか。
大人になると、
恋愛は少し不思議になります。
若い頃より人との付き合い方を知っているはずなのに、
本当に好きな人の前では、
驚くほど不器用になることがある。
それは単に「恋愛下手だから」
という話ではないのかもしれません。
■ 好きだから近づきたい。でも、好きだから怖い
恋には少し矛盾したところがあります。
好きな人には近づきたい。
もっと自分を知ってほしい。
相手のことも知りたい。
でもその一方で、
好きになればなるほど、
失ったときの痛みも大きくなる。
どうでもいい人から返信が来なくても、
それほど気にならない。
でも好きな人から返信が来ないと、
「何か変なことを言ったかな」
「嫌われたかな」
「他に好きな人がいるのかな」
と考えてしまう。
大切な人になればなるほど、
その人から拒絶されることが怖くなる。
だから人は、
傷つかないために
少し距離を取ることがあります。
■ 「嫌われるかもしれない」を強く感じる心理
心理学には、
「拒絶感受性(Rejection Sensitivity)」
という考え方があります。
簡単に言えば、
「自分は拒絶されるかもしれない」
という可能性を強く意識しやすい傾向です。
拒絶への不安が強いと、
本当は特別な意味のない相手の行動まで、
「避けられているのでは?」
「気持ちが冷めたのでは?」
と受け取ってしまうことがあります。
たとえば、
昨日まで早かったLINEの返信が
今日は遅かった。
ただ仕事が忙しかっただけかもしれない。
眠っていただけかもしれない。
でも好きな人のことになると、
その空白に
自分で意味をつけてしまう。
そして、
「これ以上近づいたら傷つくかもしれない」
と思って、
今度は自分から距離を取る。
本当は近づきたいのに。
■ 大人の恋ほど、過去の経験も一緒についてくる
30代、40代、50代と歳を重ねていけば、
ほとんどの人に
何かしらの恋愛経験があると思います。
幸せだった恋もあれば、
思い出したくない恋もある。
突然別れを告げられたこと。
浮気されたこと。
信じていた人に嘘をつかれたこと。
自分だけが好きだったこと。
そんな経験をしていれば、
次の恋で慎重になるのは
ある意味では自然なことです。
「もう同じ思いはしたくない」
そう思えば、
好きになるほど慎重になる。
期待しすぎないようにする。
自分の気持ちを全部見せないようにする。
大人の恋が難しく感じる理由の一つは、
今目の前にいる人だけではなく、
これまでの恋愛で経験してきた記憶も
一緒に恋をしているからなのかもしれません。
■ 素直になれない人は、冷たいわけではない
人との親密さを避けやすい傾向について、
心理学では「愛着回避」という観点から
研究されることがあります。
親密になりたい気持ちが全くないわけではありません。
むしろ、
近づくことで傷つくことや、
相手に依存することを避けるために、
自分の気持ちをあまり見せないことがあります。
辛くても、
「大丈夫」
寂しくても、
「別に平気」
会いたくても、
「忙しいならまた今度でいいよ」
そう言ってしまう。
外から見ると冷静に見えても、
心の中まで冷静とは限りません。
むしろ、
気持ちが大きいからこそ
自分を守ろうとしている場合もあります。
■ 「平気なふり」が恋を難しくすることもある
ただ、
ここには少し難しい問題があります。
自分を守るために距離を取れば、
相手には本当の気持ちが伝わりません。
会いたいのに、
「別にいつでもいいよ」
寂しいのに、
「全然気にしてないよ」
好きなのに、
「友達として好きかな」
そう言われた相手は、
その言葉をそのまま受け取るかもしれない。
そして、
「自分にはそれほど興味がないんだ」
と思って距離を取る。
すると今度は、
「やっぱり私は好かれていなかった」
と思う。
本当は、
お互いが少しずつ近づきたかっただけなのに。
傷つかないためについた小さな嘘が、
結果として本当に二人の距離を広げてしまうこともあります。
■ 素直になることは、全部さらけ出すことではない
では、
好きな人には何でも正直に話した方がいいのでしょうか。
私は、そうとも思いません。
大人には大人の距離感があります。
出会ったばかりの相手に、
「あなたが好きで仕方ありません」
と全部を伝える必要はない。
怖いのに無理をして、
自分をさらけ出す必要もありません。
素直になるというのは、
100か0かではないと思います。
「会いたい」
と言えないなら、
「また会えたら嬉しい」
「寂しい」
と言えないなら、
「もう少し話したかったな」
それくらいでもいい。
ほんの少しだけ、
本当の気持ちを相手に渡してみる。
恋愛では、
その小さな一歩が意外と大きいのかもしれません。
■ 好きな人の前で不器用になるのは、それだけ大切だから
好きな人ほど素直になれない。
それは、
その人がどうでもいい存在だからではありません。
むしろ逆なのかもしれない。
失いたくない。
嫌われたくない。
傷つきたくない。
そう思うほど、
人は慎重になる。
だから、
好きな人の前で不器用になってしまった自分を、
あまり責めなくてもいいと思います。
ただ、
もしその恋を少しだけ前に進めたいなら、
平気なふりをする前に、
ほんの少しだけ
本当の気持ちを見せてみてもいい。
相手も同じように、
あなたの気持ちが分からなくて
一歩を踏み出せずにいるかもしれないから。
大人の恋は、
若い頃のように
勢いだけでは進めないことがあります。
だからこそ、
ほんの少しの「素直」が、
二人の距離を変えることもある。
幾つになっても、恋は……
やっぱり少し、
難しいものなのかもしれません。
