「マッチングアプリでは、どんな写真を使えばいいんだろう」
「自撮りと他撮りなら、どっちがいい?」
「実物より少しくらい加工した方が、マッチしやすいのかな」
マッチングアプリを始めると、意外と悩むのがプロフィール写真です。
顔がよく見える写真。
笑っている写真。
旅行中の写真。
少し盛れた自撮り。
何枚も候補があるのに、
「結局、どれが一番いいの?」
と分からなくなることがあります。
プロフィール写真は、ただ顔を見せるためだけのものではありません。
表情。
撮影距離。
カメラの角度。
加工の程度。
そして、写真から伝わるその人の雰囲気。
同じ人でも、こうした違いによって相手から受ける第一印象は変わります。
だから今回は、
「なんとなく、この写真がモテそう」
ではなく、
オンラインデーティングや顔写真について実際に行われた研究をもとに、マッチングアプリで好印象につながりやすいプロフィール写真の選び方を考えていきます。
【マッチングアプリでは、写真がどれくらい重要?】
まず知っておきたいのは、マッチングアプリではプロフィール写真が相手選びに大きく関わっているということです。
Thomasらが2025年に発表したオンラインデーティング研究では、445人による5,340回の選択行動を分析。
写真から評価される外見的魅力、身長、職業、プロフィール文、知性などが、相手選びにどの程度影響するのかを比較しました。
その結果、写真から評価される外見的魅力は、相手を選ぶ際に特に大きな影響を持つ要素の一つでした。
ただし、ここで、
「結局、美男美女が有利なんでしょ」
と考えるのは少し早いかもしれません。
プロフィール写真から伝わるのは、顔立ちだけではないからです。
同じ人でも、
撮影する距離。
表情。
写真の選び方。
加工の仕方。
こうした条件によって、相手から受ける印象は変わります。
つまり、顔そのものを変えることはできなくても、
「自分がどう伝わる写真を選ぶか」
は変えることができます。
【1.近すぎる自撮りを避ける】
スマホのインカメラを顔の近くに構えて、そのまま自撮り。
手軽なので、プロフィール写真でもよく使われる撮り方です。
でも、ここには意外な落とし穴があります。
問題は、
「インカメラだから写りが悪い」
ということではありません。
重要なのは、カメラと顔との距離です。
Derakhshanらが2024年に「The Laryngoscope」で発表した研究では、スマートフォンやデジタルカメラを使い、撮影距離によって顔の形がどの程度変わって写るのかを測定しました。
その結果、スマートフォンを顔から8インチ、約20cmの距離で撮影すると、顔の中央部分に約18%の歪みが生じました。
12インチ、約30cmでも約12%の歪みが確認されています。
つまり、スマホを顔のすぐ近くに構える「自撮り距離」では、実際の顔とは少し違う形に写ることがあります。
さらに、Bryanらが2012年に発表した顔写真の研究では、近距離から撮影された顔と、より離れた位置から撮影された顔を比較しています。
その結果、近距離から撮影された顔は、離れた位置から撮影された顔より、魅力度・信頼性・有能さなどの評価が低くなる傾向が確認されました。
だから、
「インカメラは使わない方がいい」
というより、
「顔のすぐ近くから撮らない」
と考える方が正確です。
スマホを少し離す。
タイマーを使う。
誰かに撮ってもらう。
それだけでも、実際に他人から見えている顔に近い写真を作りやすくなります。
【2.インカメラより外カメラを使うなら「距離」を意識する】
「外カメラで撮った方が自然に見える」
と聞いたことがある人もいるかもしれません。
これについても少し注意が必要です。
現時点の研究から、
「外カメラそのものに、人を魅力的にする効果がある」
とは言えません。
先ほどのDerakhshanらの研究で確認されている重要な要因は、カメラの種類そのものより、撮影距離による遠近歪みです。
ただ、外カメラを使う場合は、
誰かに撮ってもらう。
スマホを置いてタイマーで撮る。
少し離れたところから撮影する。
という方法を取りやすくなります。
その結果、顔のすぐ近くで撮る自撮りを避けやすくなる。
だから、
「外カメラ=モテる」
ではなく、
「外カメラを使って少し離れて撮ると、自然な構図を作りやすい」
と考えてみてください。
顔だけではなく、服装や体型、その場の雰囲気まで写真に入れやすくなるのもメリットです。
【3.撮影角度で顔の印象は変わる】
カメラを目線より少し上にする。
真正面から撮る。
少し下から撮る。
同じ人でも、撮影する角度によって写真の印象は変わります。
実際、セルフィーの撮影角度には男女差があることも研究されています。
Sedgewickらが2017年にTinderに掲載されたセルフィーを分析した研究では、男性は女性と比べて、下方向から撮影した写真を使う傾向が確認されました。
研究者らは、撮影角度が身長や力強さなどの印象を伝える非言語的な自己表現として使われている可能性を考察しています。
ただし、
「男性は下から」
「女性は上から」
と単純に決めればいいわけではありません。
この研究は、どの角度なら必ず魅力度が上がるのかを証明したものではないからです。
大切なのは、
「角度によって相手に与える印象が変わる」
ということ。
極端な上目遣い。
極端なあおり撮影。
そうした不自然な角度より、
目線と同じくらいの高さを基本に、少しずつ角度を変えて何枚か撮ってみる。
そして、一番自然に見える写真を選ぶ。
その方が実践的です。
【4.「盛れている写真」より自然な表情を意識する】
プロフィール写真は証明写真ではありません。
顔が分かることは重要ですが、
「この人はどんな雰囲気なんだろう」
という情報も相手は写真から受け取っています。
だから、真正面から無表情で撮った写真だけでは、実際のあなたの雰囲気まで伝わらないことがあります。
かといって、
「笑顔の方がいいから」
と無理に満面の笑顔を作る必要もありません。
少し口角が上がっている。
友達と話しているときのような表情。
何かをしていて自然に笑っている瞬間。
そうした、
「実際に会ったときの自分を想像できる写真」
を意識してみてください。
プロフィール写真の目的は、
一枚の写真だけで最高に格好よく、あるいは綺麗に見せることではありません。
写真を見た相手に、
「この人と話してみたい」
と思ってもらうことです。
【5.加工しすぎない】
少しくらい、よく見せたい。
そう思うのは自然なことです。
写真を明るくしたり、色味を調整したりする人も多いでしょう。
でも、加工は強ければ強いほどいいわけではありません。
Appelらが2023年に「Computers in Human Behavior」で発表した研究では、241人の女性を対象に、男性のTinderプロフィール写真に美顔フィルターを使った場合と使わなかった場合を比較しました。
その結果、美顔フィルターを使った男性は、外見的魅力については高く評価されました。
ところが同時に、
「信頼できそうか」
という評価は低下しました。
つまり、
「魅力的に見えること」
と、
「信頼できそうに見えること」
は必ずしも同じではありません。
もちろん、この研究は男性プロフィールを女性が評価した実験なので、すべての男女・すべての状況にそのまま当てはまるとは言えません。
それでも、マッチングアプリの写真を考えるうえでは興味深い結果です。
目を大きくする。
輪郭を細くする。
肌を別人のように変える。
そこまで加工してしまうと、実際に会ったときのギャップにもつながります。
目指したいのは、
「実物より別人に見える写真」
ではなく、
「実物の良さが伝わる写真」
です。
【6.顔だけでなく「どんな人なのか」が伝わる写真も使う】
プロフィール写真には、もう一つ役割があります。
それは、
「どんな生活をしている人なのか」
を伝えることです。
メイン写真では顔が分かる。
でも、それだけでは相手の生活までは分かりません。
そこでサブ写真を使います。
旅行が好きなら、旅先の写真。
料理が好きなら、作った料理。
犬や猫と暮らしているなら、ペットとの写真。
スポーツが好きなら、楽しんでいる様子。
こうした写真があれば、
「旅行好きなんですね」
「この犬かわいいですね」
と、マッチした後の会話のきっかけにもなります。
プロフィール写真は、
「顔を評価してもらうためのもの」
だけではありません。
まだ会ったことのない相手に、
「自分はこんな人です」
と伝えるための小さな自己紹介でもあります。
【7.最後の写真を「自分だけ」で選ばない】
何枚も撮った。
候補を3枚まで絞った。
でも、
「どれが一番いいんだろう」
と迷う。
そんなときは、自分だけで決めない方がいいかもしれません。
Whiteらが2017年に発表した「Choosing face: The curse of self in profile image selection」という研究では、プロフィール写真を自分で選んだ場合と、他人が選んだ場合の違いを調べています。
まず102人について複数の顔写真を用意し、自分自身がプロフィールに使いたい写真を選択。
同時に、他人にもその人のプロフィール写真を選んでもらいました。
さらに別の第三者による評価実験も行われ、最終段階では432人が写真から受ける魅力度・信頼性・有能さなどの印象を評価しました。
その結果、全体として、他人が選んだプロフィール写真の方が、自分で選んだ写真より好意的な第一印象につながりました。
特に興味深いのは、
「自分が一番いいと思う自分」
と、
「他人から見て感じがいい自分」
が、必ずしも同じではないということです。
毎日見ている自分の顔だからこそ、
「この角度が好き」
「この表情が自分らしい」
という好みがあります。
でも、初めてあなたを見る相手には、その思い入れはありません。
だから候補を何枚か選んだら、
信頼できる友人に、
「マッチングアプリなら、どれが一番感じよく見える?」
と聞いてみる。
それだけでも写真選びの参考になります。
そして、
「そもそも使える写真がない」
「友達にマッチングアプリ用の写真を撮ってとは言いづらい」
「どんな服装や場所で撮ればいいのか分からない」
という人なら、恋活・婚活向けのプロフィール写真を専門に撮影するサービスを利用する方法もあります。
【自撮りと他撮り、結局どちらがいい?】
ここまでの研究をまとめると、
「自撮りはダメ、他撮りならOK」
と単純に分ける必要はありません。
自撮りでも、
カメラとの距離を確保する。
自然な表情で撮る。
過度な加工をしない。
という工夫はできます。
一方、他撮りには、
カメラとの距離を取りやすい。
全身や服装まで写しやすい。
普段に近い表情を撮りやすい。
というメリットがあります。
だからプロフィール写真を全部どちらかに統一する必要もありません。
メイン写真は顔が分かりやすい写真。
サブ写真には少し離れた他撮り。
趣味や休日が伝わる写真。
というように役割を分けてもいいでしょう。
【マッチングアプリで「いい人に出会えない」と感じているなら】
プロフィール写真を変えることは、出会い方を改善する一つの方法です。
でも、
写真を変えてもマッチしない。
マッチはするけれど、いい人に出会えない。
何人かと会っても恋愛につながらない。
そんな場合は、原因が写真以外にある可能性もあります。
条件の選び方。
相手を見る基準。
使っているマッチングアプリ。
過去の恋愛との比較。
こうした要素については、
「マッチングアプリでいい人に出会えないのはなぜ?大人の恋愛がうまくいかない7つの理由」
で詳しく解説しています。

【まとめ|一番いいプロフィール写真は「一番盛れた写真」とは限らない】
マッチングアプリのプロフィール写真で大切なのは、
別人のように魅力的に見せることではありません。
近すぎる自撮りを避ける。
撮影距離を取る。
角度を少し変えて比較する。
自然な表情を選ぶ。
加工しすぎない。
自分の生活や趣味が伝わる写真も使う。
そして、最後は自分だけで写真を決めない。
研究を見ていくと、同じ人でも、
「どう撮るか」
そして、
「どの写真を選ぶか」
によって、相手が受ける第一印象は変わることが分かります。
プロフィール写真は、
「自分を実物以上によく見せるための写真」
ではありません。
まだ会ったことのない誰かに、
「自分はこんな人です」
と伝える最初の一枚。
その一枚を少し変えることで、
今までとは違う誰かの目に留まるかもしれません。
【参考資料・出典】
Thomas et al.(2025)
「The relative importance of looks, height, job, bio, intelligence, and homophily in online dating: A conjoint analysis」
Computers in Human Behavior Reports
445人による5,340回の選択を分析し、外見的魅力・身長・職業・プロフィール文・知性などがオンラインデーティングの相手選びに与える影響を比較した研究。
Derakhshan et al.(2024)
「Quantifying Facial Distortion in Modern Digital Photography」
The Laryngoscope, 134(3), 1234–1238
スマートフォンとデジタルカメラを使い、撮影距離によって顔に生じる遠近歪みを測定した研究。
Bryan et al.(2012)
「Perspective distortion from interpersonal distance is an implicit visual cue for social judgments of faces」
近距離と遠距離から撮影された顔写真を比較し、撮影距離による遠近歪みが魅力度・信頼性・有能さなどの人物評価に与える影響を調べた研究。
Sedgewick, Flath & Elias(2017)
「Presenting Your Best Self(ie): The Influence of Gender on Vertical Orientation of Selfies on Tinder」
Tinderで使用されているセルフィーを分析し、男女による垂直方向の撮影角度の違いを調べた研究。
Appel, Hutmacher, Politt & Stein(2023)
「Swipe right? Using beauty filters in male Tinder profiles reduces women’s evaluations of trustworthiness but increases physical attractiveness and dating intention」
Computers in Human Behavior, 148, 107871
241人の女性を対象に、男性のTinderプロフィール写真への美顔フィルターが外見的魅力・信頼性・デート意向に与える影響を調べた事前登録実験。
White, Sutherland & Burton(2017)
「Choosing face: The curse of self in profile image selection」
Cognitive Research: Principles and Implications, 2, 23
プロフィール写真を本人が選んだ場合と他人が選んだ場合を比較し、第三者が受ける魅力度・信頼性・有能さなどの第一印象への影響を調べた研究。

