【一緒にいるのに、彼はずっとスマホを見ている】
久しぶりに会えた。
二人で食事に来たのに、彼はスマホを触っている。
料理を待っている間もスマホ。
私が話している途中でも通知が来ればスマホを見る。
家で一緒にいるときも、隣で動画やSNSを見ている。
「せっかく一緒にいるのに」
そう思うけれど、スマホくらいで怒るのも面倒な女だと思われそうで言えない。
すると、だんだん別のことまで考え始めます。
「私といても楽しくないのかな」
「もう私に興味ない?」
「もしかして冷めた?」
スマホを見ているだけなのに、なぜこんなに寂しくなるのでしょう。
今回は、恋人と一緒にいるのにスマホを優先する行動について研究されている「partner phubbing」と、恋愛における「相手から大切にされている感覚」の研究から考えてみます。
【恋人を置いてスマホを見る「partner phubbing」】
近年の心理学研究では、phubbingという言葉が使われています。
phone(電話)とsnubbing(冷たくあしらう)を組み合わせた言葉で、目の前にいる人よりスマートフォンへ注意を向ける行動を指します。
これが恋人同士で起こる場合、「partner phubbing」と呼ばれます。
例えば二人で食事をしているのにスマホを見る。
相手が話している途中でSNSを確認する。
一緒にテレビを見ていても、それぞれスマホを触っている。
現代では珍しい光景ではありません。
だから、
「みんなスマホくらい見るでしょ」
と思うかもしれません。
でも研究を見ると、恋人からスマホを優先される経験は、意外に小さな問題ではないようです。
【19,698人をまとめた研究で分かったこと】
2025年、Niらはpartner phubbingについて、それまでの52研究、58サンプル、合計19,698人を統合したメタ分析を発表しました。
その結果、partner phubbingは関係満足度と負の関連を示していました。
関係満足度との関連はr=-.219。
恋愛関係の質とはr=-.201。
親密さとはr=-.267。
そして「相手が自分を理解し、気にかけ、反応してくれている」と感じる応答性とはr=-.292でした。
一方で、嫉妬とはr=.289の正の関連が確認されています。
つまり、恋人からスマホを優先されていると感じることは、関係の満足度や親密さの低さなどと関連していたのです。
ただし、ここは重要です。
これらは主に相関関係を統合した結果です。
「彼氏がスマホを見たから二人の恋愛が悪くなった」と、すべてを単純な因果関係として考えることはできません。
【なぜスマホを見られるだけで寂しいの?】
あなたが彼に話します。
「今日、仕事でこんなことがあってね」
彼はスマホを見ながら、
「うん」
と答える。
話は聞いているのかもしれません。
でも、なんとなく寂しい。
なぜでしょう。
恋愛では、単に同じ場所にいることだけではなく、
「私のことを見てくれている」
「私の話を聞いてくれている」
「私が感じていることを理解しようとしてくれている」
という感覚が大切だからです。
【恋愛には「自分を理解してくれている感覚」がある】
恋愛心理学では、Perceived Partner Responsivenessという概念があります。
簡単に言えば、
「相手が自分を理解し、認め、自分のことを気にかけてくれている」
と感じられることです。
2023年のレビューでは、このpartner responsivenessは、親密な恋愛関係の形成と維持における基本的な概念として整理されています。
彼があなたの話を聞く。
あなたの気持ちに反応する。
嬉しいことがあれば一緒に喜ぶ。
困っていれば気にかける。
こうした小さなやり取りの積み重ねから、
「私はこの人にとって大切な存在なんだ」
という感覚が作られていきます。
【スマホは、その「反応」を奪うことがある】
例えば、
「今日、上司に褒められたんだ」
とあなたが話したとします。
彼が顔を上げて、
「すごいじゃん。何したの?」
と聞いてくれる。
それなら会話が続きます。
でも彼がスマホを見ながら、
「へえ」
だけだったらどうでしょう。
あなたが欲しかったのは、スマホを置くという行為そのものではないのかもしれません。
「私の話に興味を持ってほしかった」
のではないでしょうか。
だから寂しくなる。
【スマホを見る=あなたに冷めた、ではない】
ここで一番注意したいところです。
彼がスマホを見る。
だから、
「私に冷めた」
とは判断できません。
仕事の連絡かもしれない。
ゲームが好きなのかもしれない。
SNSを見ることが習慣になっているだけかもしれない。
動画が面白くて見ているのかもしれない。
そもそも本人には、
「彼女を無視している」
という自覚すらない場合があります。
2025年のメタ分析でも、partner phubbingにはメディア依存、愛着不安、愛着回避、孤独感、抑うつなど複数の要因との関連が検討されています。
特にメディア依存との関連が比較的大きく、r=.492でした。
だから、
「スマホを見る=愛情がない」
という単純な話ではありません。
【見るべきなのは、スマホ以外の時間】
彼の気持ちを考えるなら、スマホだけを見ないことも大切です。
あなたから連絡すれば返してくれる。
会う時間を作ってくれる。
困ったときには助けてくれる。
あなたの話を聞こうとしてくれる。
将来のことを二人で考えてくれる。
愛情は、一つの行動だけでは判断できません。
逆に、スマホ以外でもあなたへの関心がなくなっている。
会おうとしない。
話を聞かない。
連絡もほとんど返さない。
将来について話そうとしない。
そうした変化まで重なっているなら、スマホとは別に二人の関係について考える必要があります。
【「私ばかり好きなのかな」と感じてしまうこともある】
彼はスマホを見ている。
あなたは彼を見ている。
その状態が続くと、
「私だけが一緒にいる時間を大切にしてるのかな」
と感じることがあります。
これはかなり苦しい感覚です。
相手の気持ちが見えないと、返信速度や態度など小さな行動から愛情を確認しようとすることがあります。
「私ばかり好き」と感じる恋愛については、こちらの記事でも詳しく扱っています。
内部リンク
→【「私ばかり好き」になる恋愛はなぜ苦しい?愛されているか不安になる心理】
https://utakata-koi.jp/feel-like-i-love-him-more/
【スマホを取り上げれば解決するわけではない】
では、
「デート中はスマホ禁止」
にすればいいのでしょうか。
場合によっては有効でしょう。
でも、本当の問題が、
「私の話を聞いてもらえていない」
ことなら、スマホだけなくしても解決しない可能性があります。
スマホを置いてもテレビを見ている。
ゲームをする。
話しかけても反応しない。
それなら問題はスマホではありません。
二人のコミュニケーションです。
【「スマホばっかり見ないで!」では伝わらないこともある】
不満が溜まると、
「またスマホ?」
「私とスマホ、どっちが大事なの?」
と言いたくなるかもしれません。
でも彼からすると、
「ちょっと見てるだけじゃん」
と思う可能性があります。
そこで、
「スマホを見るな」
というルールだけではなく、
「私はどう感じているか」
を伝えてみます。
例えば、
「ご飯を食べてるときずっとスマホ見てると、一緒にいるのに一人みたいでちょっと寂しい」
これなら、問題はスマホそのものではありません。
あなたが寂しいということです。
【具体的なお願いにする】
さらに、
「もっと私を大切にして」
では、人によって意味が違います。
彼は、
「大切にしてるけど?」
と思うかもしれません。
だから具体的にします。
「ご飯を食べている30分だけスマホ置かない?」
「私が話してるときだけ、ちょっと画面から顔上げてほしい」
「寝る前の30分は二人で話したい」
これなら、相手も何をすればいいか分かります。
【二人でスマホのルールを作ってもいい】
スマホを完全に禁止する必要はありません。
仕事の連絡もあります。
家族から連絡が来ることもあります。
だから二人で決めます。
食事中は触らない。
映画を一緒に見ている間は置いておく。
仕事の連絡なら「ちょっと返すね」と一言伝える。
寝る前30分はスマホを置く。
重要なのは、
「あなたがスマホをやめなさい」
ではなく、
「二人の時間をどう作る?」
と考えることです。
【あなたもスマホを見ていない?】
ここは少しだけ、自分の行動も見てみます。
彼がスマホを見ている。
だから自分もスマホを見る。
すると彼も、
「彼女も見てるからいいか」
と思う。
気づけば二人とも同じソファに座りながら、それぞれ別の世界を見ている。
これは珍しいことではないでしょう。
だからルールを作るなら、彼だけではなく二人でやる。
「ご飯のときは二人ともスマホ置こう」
なら、相手を責めるルールにもなりにくくなります。
【彼がスマホを見るたび不安になるなら】
彼のスマホが光る。
誰から?
LINE?
女性?
SNS?
そう気になってしまうことがあります。
特に過去に浮気された経験があったり、以前の恋愛で傷ついた経験があったりすると、スマホが不安のスイッチになる場合があります。
ただ、スマホを見るという行動だけでは、誰と何をしているのかは分かりません。
分からないものを想像で埋めると、不安はどんどん大きくなります。
【スマホを勝手に見る前に考えてほしいこと】
不安になると、
「寝てる間にスマホを見れば分かる」
と思うかもしれません。
でも、それで何も見つからなかったとしても、
「消したのかもしれない」
と次の疑いが出ることがあります。
不安をなくすために確認したのに、さらに確認したくなる。
それよりも、
「最近スマホばかり見てるから、なんとなく距離を感じる」
と二人の関係について話す方が、本質的な問題へ近づけるかもしれません。
【話そうとすると彼が黙ってしまうなら】
問題を伝えようとしても、
「またその話?」
と言われる。
彼が黙る。
話し合いにならない。
そうなると、問題はスマホから「二人が問題について話し合えるか」に変わります。
喧嘩すると黙る彼氏と、追えば追うほど逃げてしまう関係についてはこちらの記事で詳しく扱っています。
内部リンク
→【喧嘩すると黙る彼氏は何を考えてる?話し合いから逃げる男性心理と向き合い方】
https://utakata-koi.jp/boyfriend-silent-after-argument/
【大切なのは「スマホを見る回数」より、あなたの気持ちにどう反応するか】
あなたが、
「一緒にいるときずっとスマホを見られると寂しい」
と伝えた。
彼が、
「そんなことで?」
と言う。
それとも、
「気づかなかった。ごめん」
と言う。
ここには大きな違いがあります。
すぐ完璧に直せるかどうかだけではありません。
あなたが感じていることを理解しようとしてくれるか。
恋愛におけるpartner responsivenessの研究でも、相手が自分を理解し、認め、気にかけていると感じられることは、親密な関係における基本的な概念とされています。
【一度言って直らなかっただけで結論を出さない】
長年のスマホ習慣なら、一日で変わらないこともあります。
無意識に手が伸びる。
通知が鳴れば見る。
暇になればSNSを開く。
だから一度言った翌日にまたスマホを見ていたからといって、
「やっぱり私を大切にしてない」
とすぐ決める必要はありません。
見るなら、少しずつでも変えようとしているかです。
【何度伝えても、あなたとの時間を大切にしようとしないなら】
一方で、
何度伝えても無視する。
あなたが話していてもスマホ。
デート中もスマホ。
「寂しい」と言っても、
「面倒くさい」
で終わる。
それなら、
「どうすればスマホをやめさせられる?」
だけを考え続けなくてもいいでしょう。
あなたが求めているのは、スマホを使わない男性ではありません。
一緒にいるとき、
「私はこの人とちゃんと一緒にいる」
と思える関係なのではないでしょうか。
【結婚を考えているなら、小さな日常も見る】
結婚を考える相手なら、特別なデートだけを見る必要はありません。
むしろ結婚後は、
同じ部屋にいる。
一緒に食事する。
仕事から帰ってくる。
休日を過ごす。
そんな普通の時間の方が長くなります。
だから、
「何もない時間を、この人とどう過ごせるか」
も大切です。
彼氏が将来をどう考えているかについてはこちらの記事でも扱っています。
内部リンク
→【彼氏は結婚を考えてる?将来を本気で考えている男性の見極め方】
https://utakata-koi.jp/does-boyfriend-want-to-marry/
【まとめ|欲しいのは、スマホを置くことではなく「私を見てくれる時間」】
彼氏がスマホばかり見ている。
それだけで、
「冷めた」
とは判断できません。
仕事かもしれない。
習慣かもしれない。
スマホやSNSそのものを頻繁に使う人なのかもしれない。
でも、
「スマホくらいで寂しいと思う私は面倒くさいのかな」
と、自分の気持ちまで否定する必要もありません。
2025年に52研究、19,698人を統合したメタ分析では、partner phubbingは関係満足度、恋愛関係の質、親密さ、パートナーからの応答性などの低さと関連していました。
だから、あなたが感じている寂しさには考える価値があります。
まず伝える。
「スマホを見るな」
ではなく、
「一緒にいるのに一人みたいで寂しい」
と。
そして、
「食事の30分だけ二人ともスマホ置かない?」
と具体的に提案してみる。
そのときに見るのは、彼が一度もスマホを触らなくなるかではありません。
あなたの気持ちを理解しようとしてくれるか。
二人の時間を少しでも良くしようとしてくれるか。
恋愛で大切なのは、四六時中こちらを見てくれることではありません。
必要なときに、
「ちゃんと私を見てくれている」
と思えることなのだと思います。
【参考にした主な研究】
Ni, N., Ahrari, S., Zaremohzzabieh, Z., Zarean, M., & Roslan, S. (2025).
A meta-analytic study of partner phubbing and its antecedents and consequences.
Frontiers in Psychology, 16, 1561159.
52研究、58サンプル、N=19,698。
Arican-Dinc, B., & Gable, S. L. (2023).
Responsiveness in romantic partners’ interactions.
Current Opinion in Psychology, 53, 101652.
Murray, S. L. (2023).
Regulating relationship risk: Partner responsiveness as a safety signal.
Current Opinion in Psychology, 50, 101582.

