- 【「また、私が我慢すればいいのかな」】
- 【マキャベリアニズムとは?】
- 【マキャベリアニズムが高い人の恋愛を調べた研究】
- 【一人だけの問題ではなく、二人の関係にも関係する】
- 【さらに1万人以上をまとめて調べると】
- 【もしかすると、見るところが違っていたのかもしれない】
- 【「優しい人」だけでは、まだ分からない】
- 【意見が違ったとき、その人はどうする?】
- 【「NO」と言ったときは、その人を知る機会になる】
- 【付き合った途端、自分の世界が小さくなっていない?】
- 【恋愛は「一人になること」ではなく、「二人でいること」】
- 【本当に見たいのは「困ったとき」かもしれない】
- 【嬉しいことがあったとき、一緒に喜んでくれる?】
- 【恋愛で「個性」をなくさなくていい】
- 【あなたが悪かった、と決める前に】
- 【「恋愛に向いていない」のではなく、「相手選び」を変えてみる】
- 【付き合う前に、小さな意見を言ってみる】
- 【これは「マキャベリアニズム判定テスト」ではない】
- 【本当の恋愛は、どちらかが勝つことではない】
- 【「好きになれる人」だけではなく、「自分らしくいられる人」を探す】
- 【恋愛の入り口は、「どんな人を好きになるか」ではなく「どんな人を選ぶか」なのかもしれない】
- 【まとめ|恋愛は、自分を失うためにするものではない】
【「また、私が我慢すればいいのかな」】
恋愛経験がないわけじゃない。
何人かの男性と付き合ってきた。
最初はいつも楽しい。
優しい。
話を聞いてくれる。
「今度こそ、この人なら」
そう思って付き合い始める。
でも、しばらくすると少しずつ変わっていく。
行きたい場所を言っても結局は彼の行きたい場所になる。
「私はこう思う」
と言っても、話しているうちになぜか自分が間違っているような気持ちになる。
喧嘩になれば最後に謝るのはいつも自分。
本当は嫌なのに「分かった」と言ってしまう。
友達から「もっと自分の意見を言えばいいのに」と言われてもそれができない。
気づけば彼に嫌われないようにすることばかり考えている。
そして最後には自分のほうが疲れ切っているのに、なぜか捨てられるのは自分。
そんな恋愛を何度か繰り返したら、
「もう恋愛なんてしたくない」
と思ってしまうのも無理はないでしょう。
もし今、別れた相手を忘れられず、
「どうして自分ばかりこんなに苦しいんだろう」
と感じているなら、まずは失恋そのものから少しずつ立ち直ることも大切です。
→【失恋から立ち直る方法|忘れられない人を手放し、もう一度恋をするために】
そして、次の恋愛を諦める前にもう一つ知ってほしい心理学があります。
「マキャベリアニズム」です。
【マキャベリアニズムとは?】
少し難しい言葉です。
マキャベリアニズム(Machiavellianism)は、
心理学では他者を操作しようとする対人スタイル、自分の目的のために他者を利用することへの抵抗の低さ、人間関係で感情的な距離を取りやすい傾向などによって特徴づけられる心理特性です。
名前の由来は、イタリアの思想家ニッコロ・マキャヴェッリ。
現代心理学では、ナルシシズム、サイコパシー、マキャベリアニズムをまとめて、
「ダークトライアド」
と呼ぶこともあります。
ただし、ここで絶対に間違えてはいけないことがあります。
マキャベリアニズムは、
「悪い人を見つける診断」
ではありません。
少し傾向が高いからといってその人が必ず恋人を傷つけるわけでもありません。
この記事であなたの恋人や元恋人を診断することもできません。
それでも恋人を選ぶときの一つの視点として、知っておく価値はあります。
【マキャベリアニズムが高い人の恋愛を調べた研究】
2017年、心理学者Gayle BrewerとLoren Abellは、マキャベリアニズムと恋愛関係について二つの研究を発表しました。
一つ目の研究では、恋人がいる194人の異性愛女性を調査。
マキャベリアニズムが高い女性ほど恋愛関係への満足度が低い傾向が確認されました。
さらに二つ目の研究では、恋人がいる132人の異性愛女性を調査。
マキャベリアニズムが高い女性ほど、パートナーを信頼できると感じにくく、関係への信頼が低く、その関係を続けようとする意思も弱い傾向がありました。
そして、今回の記事で特に注目したい結果があります。
マキャベリアニズムの高さは、研究で調べられたさまざまなコントロール行動や、情緒的虐待とも関連していました。
もちろん、これは女性を対象とした研究なので、
「こういう男性がいる」
という根拠としてそのまま置き換えることはできません。
しかしその後、男女のカップルを対象とした研究も行われています。
【一人だけの問題ではなく、二人の関係にも関係する】
2023年に発表された研究では、205組の異性愛カップルを対象に、マキャベリアニズムなどのダークトライアド特性と、二人の恋愛満足度との関係が調べられました。
結果として、ダークトライアド特性は本人だけでなくパートナー側の恋愛満足度についても、主としてマイナス方向の関連を示しました。
つまり、
「本人がそういう性格でも、自分には関係ない」
とは必ずしも言えないということです。
【さらに1万人以上をまとめて調べると】
2026年に掲載されたメタ分析では、16研究、合計10,874人のデータを使って、親密な人間関係における「操作性」と関係の質が分析されました。
結果は、操作性全体と関係の質に、
r=−0.215。
マキャベリアニズムだけを見ると、
r=−0.219。
負の関連が確認されています。
簡単に言えば、マキャベリアニズムや操作性が高いほど関係の質が低い傾向がある、
ということです。
ただし、これも非常に重要です。
「マキャベリアニズムが高いから、悪い恋愛になった」
という因果関係まで証明した数字ではありません。
多くの研究は自己報告に基づいています。
だから、この記事を読んで、
「あの人はマキャベリアニズムだ」
と決めつけるのではなく、恋人選びの一つの視点として使ってほしいと思います。
【もしかすると、見るところが違っていたのかもしれない】
恋人を選ぶとき何を見ていますか?
顔。
身長。
仕事。
年収。
ファッション。
趣味。
会話が楽しい。
優しい。
LINEをたくさんくれる。
デートに連れて行ってくれる。
もちろんどれも恋愛では大切なことです。
でも今まで恋愛で、
「いつも自分の意見が通らなくなる」
「いつも相手に合わせてしまう」
「最後には自分が何をしたいのか分からなくなる」
そんな経験を繰り返しているなら次はもう一つ見るところを増やしてみてもいい。
それは、
「この人は、私を一人の人間として尊重してくれる人なのか」
ということです。
【「優しい人」だけでは、まだ分からない】
付き合う前は優しかった。
これは恋愛でよく聞く言葉です。
でも、付き合う前に優しいことはそれほど不思議なことではありません。
好きな人に振り向いてほしい。
嫌われたくない。
良い人だと思われたい。
そんな時期なら誰でも普段より優しくなることがあります。
だから、
「私に優しい」
だけではなくもう少しいろいろな場面を見てみます。
【意見が違ったとき、その人はどうする?】
例えば、デートで行きたい場所が違った。
彼は焼肉。
あなたはイタリアン。
こんな小さなことで構いません。
「今日はイタリアンがいいな」
と言ったとき相手はどうするでしょう。
「じゃあ今日はそっちにして、次は焼肉にしよう」
と言える。
「どっちも近いから店を見て決めよう」
と言える。
それとも、
「いや、絶対焼肉のほうがいいって」
「イタリアンなんていつでも行けるじゃん」
「こっちのほうがおいしいから」
と、
あなたが「分かった」と言うまで説得を続ける。
一回なら単に焼肉が食べたかっただけかもしれません。
大切なのは、それが繰り返されるかどうかです。
【「NO」と言ったときは、その人を知る機会になる】
もう一つ見てみたいのが、あなたが相手の希望を断ったときです。
「今日は会えない」
「それはしたくない」
「私はこっちがいい」
「一人で行きたい」
「友達との予定を優先したい」
そう伝えたとき、
「分かった」
と言える人なのか。
理由を聞いたとしても、最後にはあなたの意思を尊重できる人なのか。
それとも、
不機嫌になる。
無視する。
何度も説得する。
罪悪感を持たせる。
「普通はそうしない」
とあなたの判断がおかしいように話す。
ここで大切なのは、その行動だけで
「マキャベリアニズムが高い」
と判断することではありません。
心理テストの代わりに使うものでもありません。
見るのはもっと単純なことです。
「私は、この人にNOと言えるだろうか」
です。
【付き合った途端、自分の世界が小さくなっていない?】
恋人ができれば生活は変わります。
週末に会う。
LINEする。
旅行する。
一緒に食事する。
当然恋人と過ごす時間は増えます。
でも、少し考えてみてください。
恋人ができてから、
友達と会わなくなった。
好きだった趣味をやめた。
服装が全部相手好みになった。
一人で出かけなくなった。
仕事の挑戦を諦めた。
言いたいことを言わなくなった。
「彼が嫌がるから」
という理由で、自分の生活が一つずつ消えていく。
それは、二人の人生が一つになった、ということとは少し違うのかもしれません。
【恋愛は「一人になること」ではなく、「二人でいること」】
あなたにはあなたの人生があります。
相手には相手の人生があります。
好きなものも違う。
友達も違う。
考え方も違う。
育ってきた家庭も違う。
二人が付き合ったからといってどちらか一人が消える必要はありません。
むしろ違う二人だから話し合う必要があります。
今日はあなたに合わせる。
次は私に合わせてもらう。
これは譲れない。
これは譲れる。
そこを二人で探していく。
それが対等な恋愛の一つの形なのだと思います。
【本当に見たいのは「困ったとき」かもしれない】
楽しいデートなら誰でも笑えます。
高級なレストラン。
旅行。
記念日。
プレゼント。
もちろんそういう時間も大切です。
でも長く付き合えば楽しいことだけではありません。
仕事で失敗する。
病気になる。
家族に何か起こる。
お金に困る。
精神的に余裕がなくなる。
そんなとき、相手の弱さを利用する人なのか。
それとも、
「大丈夫?」
と隣にいられる人なのか。
恋人を選ぶときに、華やかな場面だけではなくそういう部分を想像してみてもいいと思います。
【嬉しいことがあったとき、一緒に喜んでくれる?】
逆もあります。
あなたが仕事で評価された。
給料が上がった。
資格に合格した。
ダイエットに成功した。
新しいことを始めた。
そんなとき、相手はどう反応するでしょう。
「すごいじゃん」
と喜んでくれる。
「頑張ってたもんね」
と言ってくれる。
それとも、話題を変える。
張り合う。
「でも俺のほうが」
と言い始める。
あなたの成功を小さく扱う。
これだけで人格を判断することはできません。
でも、恋人とは長い時間を一緒に過ごす人です。
だから、自分が嬉しいときに一緒に喜べる相手かどうか。
これも大切にしていいと思います。
【恋愛で「個性」をなくさなくていい】
好きだから相手に合わせる。
それ自体は悪いことではありません。
恋愛には譲り合いが必要です。
でも、譲り合うことと自分をなくすことは違います。
好きな服を着る。
好きな音楽を聴く。
友達と会う。
仕事を頑張る。
趣味を楽しむ。
一人の時間を持つ。
自分の意見を言う。
恋人ができてもそれを続けていい。
「付き合っているのだから、全部同じ」
になる必要はありません。
【あなたが悪かった、と決める前に】
恋愛が終わると、
考えてしまいます。
「もっと我慢すればよかった」
「言い返さなければよかった」
「もっと彼に合わせればよかった」
でも、
もし、
その恋愛を続けるための条件が、
「あなたがあなたでなくなること」
だったとしたら。
本当にそれがあなたに合った恋愛だったのでしょうか。
【「恋愛に向いていない」のではなく、「相手選び」を変えてみる】
何度か同じような恋愛を経験すると、
「私は恋愛に向いていない」
と思ってしまうことがあります。
でも恋愛そのものをやめる前に、次は相手を選ぶ基準を一つ変えてみませんか。
かっこいい。
仕事ができる。
話がおもしろい。
優しい。
それに加えて、
「私の意見を尊重してくれる」
を入れる。
そして、付き合ってから確認するのではなくできるだけ付き合う前から見る。
【付き合う前に、小さな意見を言ってみる】
大きなことで試す必要はありません。
デートなら、
「今日はこっちのお店に行ってみたい」
と言ってみる。
会う時間なら、
「その時間は難しいから、こっちはどう?」
と言ってみる。
映画なら、
「私はこっちが観たいな」
と言ってみる。
少しだけ、
自分の希望を出してみる。
相手が全部聞いてくれる必要はありません。
相手にも意見があります。
だから、見るのは
「自分の希望が通ったか」
ではありません。
二人の意見が違ったときに、
「話し合いができたか」
です。
初デートのあとも相手からの連絡頻度だけでなく、こちらの意見やペースを尊重してくれるかを見ることで、
「次も会いたい相手なのか」を考えやすくなります。
→【マッチングアプリの初デート後は脈あり?脈なし?見極めたい7つのサイン】
【これは「マキャベリアニズム判定テスト」ではない】
ここはもう一度書いておきます。
意見が違ったとき。
断ったとき。
友達との付き合い。
あなたの成功への反応。
こうしたものを見てもその人のマキャベリアニズムの高さを診断することはできません。
マキャベリアニズムは、
心理尺度を使って研究される心理特性です。
日常の一場面だけで、
「あの人はマキャベリアンだ」
と判断するのは適切ではありません。
この記事で紹介した研究を使う目的は誰かにレッテルを貼ることではありません。
「操作性の高い関係は、関係の質とどのように関係しているのか」
を知ること。
そして、自分が次の恋人を選ぶときに今までとは違うところにも目を向けてみることです。
【本当の恋愛は、どちらかが勝つことではない】
恋愛は議論に勝ったほうが偉いわけではありません。
どちらかがもう一人を思いどおりにするものでもありません。
本当の恋愛とはお互いを一人の人間として尊重することだと思います。
困ったときには、助け合う。
嬉しいときには、一緒に喜ぶ。
意見が違ったら、話し合う。
相手の人生を尊重しながら、自分の人生も大切にする。
二人でいることで、一人だったときより世界が少し広くなる。
そんな関係なら、恋愛は自分を削るものではなくなるはずです。
【「好きになれる人」だけではなく、「自分らしくいられる人」を探す】
恋愛では、
「好き」
という感情がとても大きな力を持っています。
好きになってしまえば多少のことなら我慢できます。
だからこそ好きになる前の時間も少し大切にしてみてください。
この人といると、
ちゃんと自分の意見が言える。
嫌なことは嫌と言える。
笑える。
友達にも会える。
仕事も頑張れる。
自分の好きなものを好きと言える。
そんな人かどうか。
「好きになれる人がなかなか見つからない」
「いい人に出会えない」
と感じているなら、条件だけではなく自分が自然体でいられる相手かどうかという視点も加えてみてください。
→【マッチングアプリでいい人に出会えないのはなぜ?大人の恋愛がうまくいかない7つの理由】
【恋愛の入り口は、「どんな人を好きになるか」ではなく「どんな人を選ぶか」なのかもしれない】
何度も恋愛に疲れてもう誰も好きになりたくない。
そう思っているなら今すぐ次の恋を探す必要はありません。
少し休んでもいいと思います。
でも、
「私は恋愛に向いていない」
と決めてしまう必要もありません。
今までとは相手を見る場所を少し変える。
それだけでも次の恋愛は違うかもしれません。
マキャベリアニズムという心理学の研究が教えてくれるのは、
「こういう人とは絶対に付き合うな」
という答えではありません。
人を操作する傾向や、関係の中で相手をコントロールすることが恋愛関係の質と無関係ではないということです。
だから次に誰かと出会ったら、好きになれる人かどうかと一緒にもう一つ考えてみてください。
「この人と付き合っても、私は私でいられるだろうか」
その問いはこれまでとは違う恋愛を始めるための一つの基準になるかもしれません。
【まとめ|恋愛は、自分を失うためにするものではない】
恋人に言いくるめられる。
自分の意見が言えない。
相手に合わせ続ける。
そして最後には疲れ切って恋愛そのものが嫌になる。
もし、そんな恋愛を繰り返してきたのなら、
次は、
「どれだけ好きになれるか」
だけで恋人を選ばなくてもいい。
自分の意見を尊重してくれるか。
NOを受け入れられるか。
違う意見について話し合えるか。
あなたの人生を尊重してくれるか。
困ったときに助け合えるか。
嬉しいときに一緒に喜べるか。
そして、その人と一緒にいる自分を自分自身が好きでいられるか。
恋愛は、自分を小さくするためのものではありません。
二人の人間が、それぞれ自分の人生を持ったまま一緒に歩いていくもの。
どんな人を好きになるか。
それは、完全には選べないかもしれません。
でも、どんな人と付き合うかは少しだけ選ぶことができます。
どんな人なのかを知る。
自分に合っている人なのかを見る。
それが恋愛の入り口なのかもしれません。
【参考にした主な研究】
Brewer, G., & Abell, L. (2017).
Machiavellianism, Relationship Satisfaction, and Romantic Relationship Quality.
European Journal of Psychology, 13(3), 491–502.
Brewer, G., & Abell, L. (2015).
Machiavellianism in long-term relationships: Competition, mate retention and sexual coercion.
Scandinavian Journal of Psychology, 56(3), 357–362.
Láng, A. et al. (2019).
Perceptions of Close Relationship Through the Machiavellians’ Dark Glasses:
Negativity, Distrust, Self-Protection Against Risk and Dissatisfaction.
2023年に発表された205組の異性愛カップルを対象とした、
ダークトライアド特性と恋愛満足度の研究。
Turner, M. M. et al. (2026).
Manipulation in close relationships: A meta-analytic review.
Personality and Individual Differences, 248, 113485.

